春一番だけじゃない!風情ある風の名前
春一番が吹けば、いよいよ春本番とニュースになりますが、 実は日本には風に名前がついたものが数多くあります。
|風の名称
・あいの風 春から夏にかけて、日本海沿岸で吹く、北ないし北東の風。あい。あゆのかぜ。 ・青嵐(あおあらし) 5~7月の青葉のころに吹くやや強い南風。せいらん。 ・朝戸風 朝、戸を開けたときに吹き込む風。 ・天つ風 天を吹く風。 ・色風 なまめかしい風。 ・追い風 後ろから吹いてくる風。進む方向に吹く風。おいて。順風。 ・颪(おろし) 山を越えて吹き降りて来る風。冬の季節風をいうことが多い。六甲おろしなど。 ・空風 湿気のない激しい風。関東地方の冬の季節風。空っ風。 ・黒南風(くろはえ) 梅雨入りの頃、どんよりと曇った日に吹く南風。 ・旋風 渦巻き状の風。つむじ風。つじ風。 ・そよ風 そよそよと吹く風。微風。 ・竜巻 大気の下層に起こる巨大な漏斗状・柱状の激しい渦巻。 ・時つ風 ほどよいころに吹く風。時節にかなった風。順風。また、潮の満ちる時刻になると吹く風。 ・四方の嵐 あたりを吹き荒れる嵐。 ・夜半の嵐 夜吹く風。一夜で桜花を散らす嵐。[よはのあらし] ・和風 穏やかな風。春の風。
・・・などなど、吹く場所や時期によって情緒ある名前が数多く名付けられています。
|ビューフォート風力階級表
イギリス海軍提督フランシス・ボーフォートが作成した会場での風の強さのチャート表で、日本の気象庁もこちらを和訳したものを採用しています。
風力階級 | 名称 | 相当風速 | 陸上の様子 | 海上の様子 |
0 | 平穏(へいおん) / 静穏(せいおん) calm |
0〜0.2m/s |
煙はまっすぐ昇る。 | 水面は鏡のように穏やか。 |
1 | 至軽風(しけいふう) Light air |
0.3〜1.5m/s 1〜3ノット |
煙は風向きが分かる程度にたなびく | うろこのようなさざ波が立つ。 |
2 | 軽風(けいふう)Light breeze | 1.6〜3.3m/s 4〜6ノット |
顔に風を感じる。木の葉が揺れる。 | はっきりしたさざ波が立つ。 |
3 | 軟風(なんぷう) Gentle breeze |
breeze3.4〜5.4m/s 7〜10ノット |
木の葉や小枝が揺れる。 | 波頭が砕ける。白波が現れ始める。 |
4 | 和風(わふう) Moderate breeze |
5.5〜7.9m/s 11〜16ノット |
砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が宙に舞ったりする。 | 小さな波が立つ。白波が増える。 |
5 | 疾風(しっぷう) Fresh breeze |
8.0〜10.7m/s 17〜21ノット |
葉のある灌木が揺れ始める。 | 水面に波頭が立つ。 |
6 | 雄風(ゆうふう) Strong breeze |
10.8〜13.8m/s 22〜27ノット |
木の大枝が揺れ、傘がさしにくくなる。電線が唸る。 | 白く泡立った波頭が広がる。 |
7 | 強風(きょうふう) High wind / Moderate gale / Near gale |
13.9〜17.1m/s 28〜33ノット |
大きな木の全体が揺れ、風に向かって歩きにくい。 | 波頭が砕けて白い泡が風に吹き流される。 |
8 | 疾強風(しっきょうふう)Gale / Fresh gale | 17.2〜20.7m/s 34〜40ノット |
小枝が折れる。風に向かって歩けない。 | 大波のやや小さいもの。波頭が砕けて水煙となり、泡は筋を引いて吹き流される。 |
9 | 大強風(だいきょうふう) Strong gale |
20.8〜24.4m/s 41〜47ノット |
屋根瓦が飛ぶ。人家に被害が出始める。 | 大波。泡が筋を引く。波頭が崩れて逆巻き始める。 |
10 | 全強風(ぜんきょうふう) / 暴風(ぼうふう) Storm / Whole gale |
24.5〜28.4m/s 48〜55ノット |
内陸部では稀。根こそぎ倒される木が出始める。人家に大きな被害が起こる。 | のしかかるような大波。白い泡が筋を引いて海面は白く見え、波は激しく崩れて視界が悪くなる。 |
11 | 暴風(ぼうふう) / 烈風(れっぷう) Violent storm |
28.5〜32.6m/s 56〜63ノット |
めったに起こらない。広い範囲の被害を伴う。 | 山のような大波。海面は白い泡ですっかり覆われる。波頭は風に吹き飛ばされて水煙となり、視界は悪くなる。 |
12 | 颶風(ぐふう)Hurricane | 32.7m/s以上 64ノット以上 |
被害が更に甚大になる。 | 大気は泡としぶきに満たされ、海面は完全に白くなる。視界は非常に悪くなる。 |
あまり耳にする事は少ないですが、覚えておけば災害時のレベルが把握できて冷静に行動できそうです。
|風の成語
風をモチーフにした言葉たちも受け継がれています。
・秋風が立つ・吹く 男女間の愛情が薄れ、相手に嫌気がさす。 ・明日(あした)は明日の風が吹く 成り行きにまかせ、くよくよしない気分をいう。 ・嵐の前の静けさ 変事が起こる前の不気味な静けさ。 ・一竿風月 釣りをして俗事を忘れ、風流を楽しむこと。 ・威風堂々 威厳があって立派である様子。 ・浮世の風 この世の辛いことや好ましくない風潮。 ・風脚 風の速さ、力。 ・風当たり 世間からの反発。 ・風穴 風の通る穴。風を通すための穴。突破口。 ・風上に置けない 卑劣な人間をののしって言う形容。 ・風が吹けば桶屋が儲かる めぐりめぐって意外なところに影響が及ぶこと。 ・風の調べ 風が作り出す音楽的響き。 ・風の便り どこからともなく伝わってくる消息。 ・風は吹けども山は動ぜず 混乱の中でも動じないこと。 ・花鳥風月 花と鳥と風と月。風流。 ・どういう風の吹き回し 事の成り行きが思いがけないさま。 ・風雲児 事変に乗じて活躍する英雄。 ・・・などなど!風は時流を表す言葉によく使われるようですね。
普段は使う機会は少ないかもしれませんが、受け継がれている感性を大切にしたいですね♪
この記事へのコメントはありません。