【400年の歴史】あなたの知らないマタギ文化
日本の山間部で息づく猟師『マタギ』は、アイヌ語の『マタンギ』が訛ったもの、山を跨ぐので山跨ぎで『マタギ』、鬼をも凌ぐほど強いので『又鬼」と呼ばれるようになったと諸説あります。
山の神に感謝を捧げる独特の儀式や通過儀礼を持つことから、長年その文化は公になることはありませんでしたが、戦後の民俗調査で明らかになりました。
アイヌ語に近い『マタギ語』をしゃべり、独自の道具を持つ彼らの生活をご紹介します。
フクロナガサ
マタギ発祥の地、秋田県阿仁で生まれたマタギナイフです。出刃包丁のような身なりで、クマを仕留め、解体、調理、道の枝を払い、棒を差し込めば槍にもなるという万能ナイフです。マタギはこれ一本あればマタギ小屋を作れると言われ、マタギの魂とされています。現在は4代続く西根打刃物製作所で購入することができます。
昭和初期〜現代までのマタギ猟実録
マタギはチームを組んで獲物を狩ります。現代では全員が無線で連絡を取り合いますが、昭和初期は連絡手段などなく、今よりも軽装でカモシカの毛皮を着て、槍をメインに狩りに出ます。
マタギ言葉
マタギには独特の言い回しがあり、アイヌ語から派生している言葉と相まって唯一の言葉を形成しています。いくつかご紹介します。
・あおけら・・・カモシカ ・いたず・・・熊 ・えぎしこたてる・・・たき火をする 火をたく ・おあらため・・・死ぬこと 行者が使ったことば ・さんぺ・・・心臓 ・しかり・・・マタギが集団で狩猟をする際の総指揮者のこと。狩りの分担、配置を決める ・はなくさ・・・煙草 |
禁忌
女に関すること、死ぬ・殺しに関する言葉を使うと厳罰があった。猿を『サル』と呼んではいけないとされ、誰かが口にした際には山に入らないこともあった。口笛を吹くこと、女性と会話したり、身体に触れたりすること、鉄砲をまたぐことなども禁忌とされ、厳しい雪山の自然に立ち向かってきたマタギには独自の信仰があった。
伝説のマタギ
重ね撃ち竹五郎
幕末から明治初期に活躍
一発佐市
どんな獲物も一発で倒した。
疾風の長十郎
足がべらぼうに速い
背負い投げ西松
クマと格闘した
これからもまだまだ必要とされる生業。文化として受け継がれていきますように。
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