言葉でなく扇子で気持ちを伝える「扇ことば」

出典:marry

あおぐ団扇なるものは世界各国にあれど、折りたたみ式の扇子を発明したのは日本が始まりだと伝えられています。

この扇子はあおぐだけに留まらず、宮廷の儀式や落語の小道具、歌を書いて渡したりと様々な用途に使われました。

日出ずる国より西へ西へとヨーロッパに渡ると、シルクや孔雀の羽を使った洋扇は、独自の発展を遂げます。 なかでも、恋愛のコミュニケーションを支えた「扇ことば」は非常に人気で、19世紀にスペイン語で手引書が出版されると、ドイツ誤、英語に翻訳され瞬く間にヨーロッパを駆け巡りました。

当時は出会いの機会が限られていた上、恋人や婚約者同士が2人きりになれなかったため、暗号で気持ちを通わせていたと言われています。

扇ことばは、男女の求愛をスマートに支えるまでに発達しました。


〜扇ことば一覧〜

・右手で顔の前に持つ – 私について来て ・左手で顔の前に持つ – お近づきになりたい ・左耳を当てる – あなたを追い払いたい ・額を横になぞる – あなたは変わった ・左手でくるくる回す – 私たちは見られている ・右手に持つ – あなたは積極的すぎる ・手をなぞる – あなたなんか大嫌い ・右手でくるくる回す – 私は別の人を愛しています ・頬を横になぞる – ごめんなさい ・閉じたまま見せる – 私のこと愛してる? ・両目を横になぞる – ごめんなさい ・先端を指で触れる – あなたに話しかけたい ・先端を右頬に当てる – はい ・先端を右頬に当てる – いいえ ・開いて閉じる – あなたはひどい人ね ・落とす – 友達でいましょう ・ゆっくりあおぐ – 私は結婚しています ・早くあおぐ – 私は婚約しています ・取っ手を唇に – 私にキスして ・大きく開く – 私を待ってて ・開いた状態で左手に持つ – 私に話しかけに来て ・頭の後ろに当てる – 私を忘れないで ・小指を立てる – さようなら ・閉じた扇を心臓に当てる – あなたは私の心を射止めた ・閉じた扇を右目に当てる – いつかあなたにお目にかかれるかしら? ・部分的に開いた扇の扇骨を数本見せる – 何時に? ・畳んでいない扇を扇ぎながら触る – いつもそばにいたい ・閉じた扇で脅す – そんなに図々しくしないで ・閉じた扇を物憂げに見つめる – なぜ私のことを誤解するの? ・半開きの扇を唇に押し付ける – 私にキスしていいわよ ・開いた扇の下で両手を組み合わせる – お願いだから私を許して ・開いた扇で左耳を覆う – 私たちの秘密を漏らさないでね ・完全に開いている扇を非常にゆっくり閉じる – あなたとの結婚を約束します

これを覚えるのは手間ですが、逆に考えれば恋愛の考えはこれに集約されているのでは?

レコードと酒とバイクを愛する健康オタク。 主に音楽、グルメ、時事ネタなど。生活のアクセントになるものを投稿します。

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